私のHPの師匠である
詩人・映像作家 
鈴木志郎康さんの
「曲腰徒歩新聞」
(承諾を得て掲載させて頂きました)


2000年2月28日

映画監督の金井勝さんが独力でホームページを開いた。    

 映画監督の金井勝さんがホームページを開いた。昨年の暮れに「俺もホームページをひらくぞ!」と言っていた金井さん、まずコンピュータを買い、独学で作り方を覚えて、どうしても二月中に開くんだ、という意気込みで遂に開設となった。昨日、ファイルをサーバーに送ったけど開けないのはどうしてか、と言うメールが来た。電話で聞いてみると、ちゃんとファイルは出来ているのに開けないという。そして、今日、プロバイダーに電話で聞いたら、拡張子を「index.htm」でなく「html」にしてくれということだったので、直したら開けたというのだった。途中でもいろいろ引っかかって落ち込んだりしたけど、最後の最後でまた引っかかって、ようやく開けたと、喜んでいた。友人のわたしもホッとした。よかった、よかった。おめでとう。

 先日会ったとき、本を2冊買ってやってると言っていた。その時、他人のホームページにリンクを付けるのはどうやるの、と聞かれて、本に書いてないのかと聞いたら、どちらの本にも書いてないというのだった。そんなことあるの、と思って、うちの麻理のために買った本を見たら、なるほど自分が作ったファイルへのリンクは書いてあっても、他人のページへのリンクの付け方は「絶対パス」の言い方では書いてあっても、具体的なやり方は書いてなかった。ウインドウからリンクするファイルを拾ってクリックするというソフトを使ったやり方では、それができない他人のファイルでは無理なのがわかった。

 金井さんが本を見て作ったというページのソースを見ると、テキストがみんな 「blockquote」タグの中に入っていた。だから適当な余白が出来て読みやすい。なるほど、と思った。スクロールさせるために「marquee」タグを使ったテキストなど四重のblockquoteに入れてある。文頭を右に寄せるやり方として面白い。普通なれてると「table」タグを使ってしまうが、HTML言語ってこういう入れ子が何重にも出来るのが面白いところだ。初心の人だから出来ること。金井さんってそういうことをどんどんやってしまう人なんだなあ、と改めて思った。

 金井さんのページは、自己紹介と作品リストと上映リストが主で、あとイメージフォーラムの卒業生の卒業後の活躍が書いてあった。自己紹介のページの幼い頃の金井さんの写真は初めて見た。また1969年から昨年までの三〇年間に256回に及ぶ上映会の記録「上映リスト」は重みがある。1983年頃までにだんだんと回数が少なくなり、そこからまたぶり返して、減ったり増えたり、金井さんの映画を見たいという人々の気持ちの揺れが出ている。金井さんの映画は個人の記憶と歴史が絡まってねじれた時間を紡ぎ出す独特の作品で、表現意識にインパクトを与える。それが好んで見られたり、避けられたりするところに、日本の若者の表現意識のあり方が、自主上映、レンタルと続くリストに映し出されているように思える。金井さんはそういうところに鋭敏な人。他には見られない「時間」を持つホームページで、これから金井さんがどんな時間を紡ぎだしていくか楽しみ。

鈴木志郎康さんのHP

鈴木さんがHP指導のため来宅の頁

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