勝丸出演作品

● ニ瓶剛監督作品『冬のカゲロウ』
● 和田淳子監督作品『ボディドロップアスファルト』
● 大木浩之映像作品『超全体主義的性交』

他に、自作を除けば関野正顕監督『クズ共に電光石火の夢を!!』(’83)、松本俊夫監督『ドグラ・マグラ』(’88)、桑名平治監督『相模幻野考』(’89)などに出演しており、おいおいそれらを含めた全出演作品を記載しようと思っております。


● 二瓶 剛監督作品
          『冬のカゲロウ』(2001年度作品)

ニ瓶監督は東京造形大学の研究生で、この『冬のカゲロウ』はその卒業制作――しかしそこには学生作品にありがちな甘えも、商業作品にありがちな観客への媚も一切ありません。

テーマは現代に於ける人間関係の崩壊――、
ラーメン屋の主・幸蔵とその家族、幸蔵をオヤジと慕うヤクザの頭・健吾とその組織、若い組員のマルオとヒデオ、幸蔵の娘・ノリコとその恋人・秀一朗、そして幸蔵が入院した病院の医師とその家族などが実に巧妙に設定されており、それらが複雑に絡みながら徐々にその夫々の関係が崩れ去ってゆくという展開です。

確かに家庭や友情や恋愛関係の破綻などを描いた作品はこれまでにも沢山ありますが、この『冬のカゲロウ』の凄さは、それらを強かに編み込んだその構造――更にその夫々が新聞の三面記事からの拝借ではなく、全ての人間像を創り出していることであり、且つそれらがリアリティーに溢れているということです。

さて、ぼくの役柄はラーメン屋の主・幸蔵で、言わばこの作品の陰の主役です。
台詞は一切ありませんので存在感が勝負――それは観客の皆さんの評価にお任せするしかありません。

『冬のカゲロウ』の公開がどうなるのかは聞いておりませんが、この傑作を闇に葬ったら、映像界の大いなる損失だと思います。
この若き才能の持主たちに、どうかお力添えをお願い致します!

       スタッフ                 キャスト  
監督、編集、音楽  二瓶 剛  健吾   二瓶剛
撮影、編集     赤間康隆  ノリコ   宗清万里子
脚本、録音 小川雅之 秀一朗 遠藤雅幸 
記録 石田仁美 医者の稔 石倉正義
録音補 渡部啓太郎   医者の妻 照屋千賀
小道具 佐藤恭史  医者の息子・正 谷口徹
  竹内芳子 ヒデオ 持木祐一
        マルオ 宮城愛彦
    小学校の先生 中村香
    ラーメン屋の客 八木康太
    茶のジャケットの男 天沼大
    組員 石崎太郎
      星野大紀
      伊藤伸哉
      滝本時生
      藤井亮爾
    看護婦 結城栄美子
      鈴木和子
      木下藤栄
    幸蔵 金井 勝
       
幸蔵の誕生日を祝う(?)ラスト・シーン

● 和田淳子監督作品
        『ボディドロボップアスファルト(2000年度作品)
                  〜BODY DROP ASPHALT〜
  

愛知芸術文化センターの2000年度作品は、『桃色ベビーオイル』で脚光を浴びた和田淳子さんに決まったと聞いていました。その和田さんから(12月の初めに)突然出演依頼の手紙――台本も同封されておりました。

 ◆内容
    とある女流作家を主人公に、「表現する女性が陥りやすいこと」をシニカル
    に描いた作品。

 ◆ストーリー
    22歳の真中エリは、自分の世界に没頭しがちな女の子。
    得意の妄想世界をロマンチックな恋愛小説に仕立てて、一躍スターダム。
    それでも彼女自身の日常生活はいつも上手くいかないのだった。

撮影は22日の午後――
僕の役は、ヒロイン・エリが「妄想した天国」の神様――台詞もかなりあり、その上に特殊技術を行うため、ターンテーブルの上で回りながらの演技(?)でしたので大変――素人の悲しさで、脂汗がにじみでました。
気になっていたのでしょう、翌日の明け方に『ボディドロップアスファルト』の試写会の夢を見ました。
上映が終わると拍手喝采――「金井サンは幸せですね!こんな素晴らしい作品に出して頂けて!」と周りの人たちからいわれ、なかには上気させた顔で握手を求めてくる者までおりました。
朝見る夢は正夢だといいます。和田監督には他に類を見ない独特な感性があり、それを知る僕としては期待が大きく膨らみます。
※ 公開は「IFF2000」などでおこなわれました。
※ 2001年8月 
シアター・イメージフォーラムでレイト・ショー

スタッフ
企画/愛知芸術文化センター
制作/愛知県文化情報センター
エグゼクティブ・プロデューサー/越後谷卓司
監督・脚本・衣装/和田淳子
制作/藤田功一
撮影・照明/白尾一博 、宮下 昇
録音/小林徹哉
アニメーション/辻川幸一郎
ヘアメイク/小野あけみ
スチール/首藤幹夫
音楽/コモエスタ八重樫

キャスト
小山田サユリ + 尾木真琴 + 田中要次 + 岸野雄一 + マチュー・マンシュ+
あがた森魚+ 大久保賢一 + 鈴木慶一 + 手塚 眞 + 沼田元氣 + 鈴木卓爾 +
村上賢司+ 金井 勝

 和田淳子監督の寄稿「女性が作家でいることの難しさ」


● 大木裕之映像作品
       『超全体主義的性交』(2000年度作品)

イメージフォーラム23期の卒業制作展も目前に迫って、受講生たちは最後の仕上げに大童です。
絶えず2人の専任講師が指導に当っている「講評」――3月8日のその講評では、久しぶりに大木裕之さんと一緒になりました。

その大木さんから、いきなり彼の新作の出演依頼を受けます。
青山にあるワタリウム美術館で3月14日〜4月9日まで展示される、大木裕之の「映像」展で、タイトルは「超全体主義的性交」だそうです。

既に写真が貼られていたり、サインがされていたりする8×8の「升目ボード」を取り出した彼は、その空いてる升にサインを求めます。
何でも1升が40秒だということで、撮影は12日の日曜日に決まりました。

専任講師では、かわなか のぶひろさんや萩原 朔美さん、奥山順市さんも参加するようだし、これは負けてはいられないと想を練って日曜日を待つことにしました。

雨もあがった日曜の昼下がり、大木組のスタッフ3名が武州高幡不動の拙宅に到着――。
東大・建築学科卒業の大木さんの眼に、このあばら家がどう映ったかは定かではありませんが、それでも『聖なる劇場』(ぼくのVTR作品)の舞台でもある小川と池には興味を持ったようで、池越しに濡れ縁のぼくを先ず撮影。

さてこれからが本番(と、この時ぼくは勝手に思い込んでいる)――こちらの構想を大木さんに話し、妻の智子にピンクのチャイナ服を着させての、2ショット撮影――OK!

細工は流々、他の63升には絶対に負けない(インパクトのある)40秒作品が出来た筈!(と、ぼくは勝手に思い込んでいる)――ただ気になるのは妻の演技で、後で聞くと「どうして良いか判らなかったので、ただポカンとしてた。多分『さんまのからくりテレビ』に出てくる田舎のおばぁちゃんみたいだよ、きっと」という不甲斐ない答が返ってきて……がっくり!

大木さん一行を送り出し、
その時に貰ったチラシを見ると「……40秒×64個の映像は重なったり交わったり上んなったり はめられたりなどをくりかえし、展示期間中もつねに変化を続ける」とあるではありませんか……!

そういうコンセプトだとは知らなかったので(そういえば、映像研究所でチラシのコピーは貰ったが、そこまでは見ていなかった)、どうなることやら分りません。
ともあれ、これは大木裕之作品――さて、彼がどう料理するのか、映像展を楽しみにしています。

大木裕之の「映像」展 ※ 終了

ワタリウム美術館(GAMEOVER展にて)
п@03−3402−3001

2000.3.14(Tue)−2000.4.9(Sun)

開館時間:午前11時より午後7時まで
(毎週水曜日は午後9時まで)

休館日:毎週月曜日(2000.3.20は開館)

最寄の駅は営団地下鉄銀座線・外苑前です

GAMEOVER展入場料 一般1000円
               学生 800円
(会期中何度でも使えるパスポート制)

◆ 鈴木志郎康さんの「曲腰徒歩新聞」にこの映像展の批評が載っております。



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