イメージフォーラム付属映像研究所
 
   第23期卒業制作展

受賞者発表 ☆ その後の23期

    2000年3月17日(金)〜26日(日)

IF付属映像研究所は、映像作家の育成を目的して1977年に開所し、はや23年が経ちました。

受講生は、大学生、サラリーマン、職人、フリーターなど様々ですが、その殆どが自分で稼いだお金(親から出して貰ったのではなく)で来ていますのでみな真剣――それだけに講師もやり甲斐を感じながら指導に当っております。

専任講師は、奥山順市(映像作家)、かわなか のぶひろ(映像作家・東京造形大学教授)、鈴木 志郎康(映像作家・詩人・多摩美術大学教授)、萩原 朔美(映像作家・多摩美術大学教授)、西嶋 憲生(映像研究者)、村山 匡一郎(映像研究者)、大木 裕之(映像作家)、中島 崇(映像作家・イメージフォーラム番組ディレクター)、池田 浩之(イメージフォーラム番組ディレクター)、そして私・金井 勝です。

また特別講師として各分野のエクスパート20名が指導を行っております。

23期卒業制作展プログラム
              興味をお持ちの方は是非ご覧下さい。

プログラム・A      
  子供の領分 森田 有未 8ミリ 10分
  Happy Birthday,My Replica 久保 健介 8ミリ 4分
  きずな 松田 綾子 8ミリ 10分
  「わたし」 小糸 英樹 8ミリ 12分
  たね なるみ あきこ 8ミリ 3分
  気化せり華 中山 珠子 8ミリ 15分
  僕はあなたじゃない 須藤 利枝子 ビデオ 40分
プログラム・B      
  スピード感覚と知覚 矢野 哲 8ミリ 15分
  昭和ショウ 恩田 香 ビデオ 5分
  吉沢 俊一 8ミリ 10分
  俺は空が大好きだった 澤木 創 8ミリ 20分
  トリオップス 佐藤 かさね 8ミリ 5分
  YELLOW TRIP 徳本 直之 ビデオ 25分
  阿片譚 倉重 哲二 8ミリ 7分
プログラム・C      
  冬の日射しと脳皮質 相澤 崇生 8ミリ 17分
  風を集めて 加藤 穂波 8ミリ 10分
  VIDEO DAYS 高柳 淳 ビデオ 10分
  やさしい一日 岡部 留美 8ミリ 5分
  そらがわれるひ 森 岳大 8ミリ 10分
  妄想癖 永田 裕恵 8ミリ 10分
  Y舌キャット 小沼 普徳 8ミリ 12分
  連帯ぱぺっと 山口 俊昭 8ミリ 18分
プログラム・D      
  筋肉とバランス 高橋 俊冶 8ミリ 20分
  遠い声 近い声 大場 勇樹 8ミリ 10分
  事務員ミチヲの秘やかな楽しみ たけうち 由佳 8ミリ 10分
  種子 あきば みきお 8ミリ 4分
  まっているとたどりつく 鈴木 啓史 ビデオ 5分
  180° 中野 秀人
潮田 英志
ビデオ 7分
  孤児の花 橋本 幸生 8ミリ 10分
  母はまるで母のようだ 須藤 裕美子 8ミリ 18分
プログラム・E      
  モ・ジ・バ・ケ 安藤 夏海 8ミリ 10分
  ムカデのじんましん 長橋 佑司 8ミリ 10分
  気持ち500円 古俣 健冶 ビデオ 30分
  gaze 本杉 淳悟 8ミリ 15分
  カメラについて 真鍋 香里 8ミリ 30分
プログラム・F      
  1本杉の大きな手 宇佐美 誉子 8ミリ 25分
  売店すぐそこ8×76/sec 鯨田 敏行 8ミリ 3分
  かけがえのないもの
〜OREZOTENIN〜
吉川 義盛 8ミリ 5分
  そんな気持ちのままで 平澤 龍弘 ビデオ 20分
  指切り 米津 裕子 8ミリ 8分
  Cubic 中丸 大輔 ビデオ 30分
プログラム・G      
  笑私〜ショウシ〜 鈴木 陽子 8ミリ 10分
  しのびがえし 椎名 隆司 8ミリ 25分
  選択 坂本 幸徳 8ミリ 10分
  ハニワ男のカラッポ帝国 加藤 幸太 8ミリ 15分
  水溶性 大津 麻智子 ビデオ 10分
  36.8℃ 川村 尚子 8ミリ 25分
プログラム・H      
  ぐるぐるふつふつ... 原 菜穂子 ビデオ 15分
  光景 南部 隆一 ビデオ 8分
  「カワノオワリ」 ヤマモト カオリ 8ミリ 20分
  どうすることもできない。僕らは愛し合った。 木村 茂之 ビデオ 15分
  誉めよ、誉め讃えよ 秋浜 瑞紀 8ミリ 35分
プログラム・I      
  RooooooooM Tomoyo Nomura ビデオ 10分
  接触の温度 栗山 和久 8ミリ 10分
  カラーサークル ×× ××× 8ミリ 4分
  束縛 梶原 理英 8ミリ 15分
  Nothing’s Gonna Channn...gel 吉良 竜太 ビデオ 40分
プログラム・J      
  思い出の捨て方 大町 綾子 8ミリ 15分
  そんな、27mm 横田 豊子 8ミリ 10分
  サムライダイゴ 平畑 玄洋 ビデオ 35分
  Switch 秀島 謙ニ郎 8ミリ 5分
  眺める愉しみ 山岸 玲音 8ミリ 15分
  稲荷之陰嚢〜いなりのふぐり〜 秋山 直人 8ミリ 20分
プログラム・K      
  砂の写本 桑原 正彦 8ミリ 15分
  間違ってて正しくて 迫田 公介 8ミリ 20分
  全然青い花から 江川 摩利子 8ミリ 10分
  金魚の糞 中澤 智恵 8ミリ 20分
  神様のいうとおり 遠藤 淑恵 8ミリ 12分
  キル 小倉 智里 8ミリ 7分
プログラム・L      
  以毒制毒宴 二宮 正樹 8ミリ 40分
  Q 朝重 彰 8ミリ 12分
  銀の器 井上 企代子 8ミリ 5分
  水の染み 渡辺 雅代 8ミリ 5分
  生まれるはずの... 藤井 由貴 ビデオ 20分
  たぶたぶ母乳三昧 木村 文昭 8ミリ 20分
プログラム・M      
  壜の中の時間 伊藤 あらた 8ミリ 12分
  ゆらぎ 鈴木 紀子 ビデオ 25分
  水の中 カン タキコ 8ミリ 10分
  摘み草 扇田 未知彦 8ミリ 20分
  説教芸術家 西崎 博人 8ミリ 25分
プログラム・N      
  RESET 平嶋 圭 8ミリ 30分
  階段小路 越河 美波 8ミリ 5分
  朝食〜Break Fast〜 三谷 周平 8ミリ 3分
  千葉  窓 紅 カサイ セイ 8ミリ 41分
  Tree Minutes Out 田端 志津子 8ミリ 3分
プログラム・O      
  さよなら 鳥浜 浩 8ミリ 55分
  EVEN IF 小島 正浩 8ミリ 10分
  HIGH-VOLT 佐藤 健 ビデオ 10分
プログラム・P      
  明かりの中の会話 神山 千恵 8ミリ 7分
  凝視/瞬き 小林 寛学 8ミリ 11分
  ダイヤローグ1999 井上 朗子 8ミリ 40分
  エル 山本 貴政 ビデオ 20分
  男のサービスエリア 樋渡 麻実子 8ミリ 25分
プログラム・Q      
  残影残像 岩本 勝 8ミリ 30分
  sky−word 安藤 直人 8ミリ 10分
  W氏の一日 前田 幸矢 8ミリ 7分
  私に 宗形 忍 ビデオ 20分
  みやした ちとせ 8ミリ 5分
  絵ビラ 山縣 太一 ビデオ 10分
  貝沢町1179−1 山口 伊豆子 8ミリ 10分
  YoU−GooD 武藤 浩志 8ミリ 5分

最優秀作品には、秋山祐徳太子氏制作のブリキの彫刻が、
  また優秀作品(4作品)には、同氏制作の版画が贈られます。
  23期生は、果たして誰が勝ち取るのでしょうか……!

受賞結果などと共に、
  金井 勝が選んだベスト10を
  後日このホームページでご報告いたします。よろしく! 
 

上映時間表
  11:00  1:00   3:00   5:00   7:00 
3/17(金)       Q   J   D
3/18(土)     O   M   C   G
3/19(日)   I   H   L   B   F
3/20(月)     N   D   K   P
3/21(火)       A   E   L
3/22(水)       F   B   H
3/23(木)       P   K   N
3/24(金)       G    C   I
3/25(土)     M   O   J   Q
3/26(日     E   A    

             



23期はかつてない豊作だった!
   〜IF卒業制作展を終えて〜

17のプログラム、100本近い全作品を見た。
そしてこれまでにない充実感を味わうことが出来た。
23期の皆さんおめでとう!そして有難う!


受賞作品決定!

選考は専任講師全員で行うのだが、クオリティの高い作品が多く、その上にドキュメンタリーあり、立体アニメあり、コンセプチュアル・アートありで難渋――結局大賞は2作品と云うこれまでにない結果となった。



大賞
2作品
 倉重 哲二
 『阿片譚』(8ミリ) 
 鳥浜 浩   
『さよなら。』(8ミリ) 


写真は、秋山祐徳太子氏制作のブリキの彫刻を手にするグランプリの2人――倉重 哲二君(右)と鳥浜 浩君

入選4作品
   
『男のサービスエーリア』(ビデオ)  樋渡 麻実子  
   
『ぼくはあなたじゃない』(ビデオ)   須藤 梨枝子
   
『誉めよ、誉め讚えよ』(8ミリ)      秋浜 瑞紀
   
『Three minuites out』(8ミリ)      田端 志津子

『阿片譚』は、独特の世界観を持った立体アニメで、阿片を吸引する老人の幻覚をクワガタ虫やランタン、遠眼鏡などを使って描き、これまで見たこともない世界へと誘ってくれる。技術的にも優れており、たった1年でここまで到達できたのだから末恐ろしい才能――ただクワガタと老人の関係などをもっと分り易くしても良かったと思うし、また虫かごからクワガタが出てくるところがないと、人物との比較から鳥かごのように見えてしまうのでは(2度目に見た時にはかごの中のクワガタが分ったけれども)……ともあれ、かつてない大型新人の出現に、先ずは乾杯!

『さよなら。』は、8ミリ映画を撮る作者自身の周辺を、虚構を絡ませてラジカルに描き出す。その個性は若き日のぼく自身とも重なるところもあって、途中までは文句なく面白かった。だが後半には文句がある。特に8ミリフィルムやカメラに関する否定的な発言やその行動を見ていると、赤字部門を閉鎖させる為に企業から送り込まれた回し者かと思ったぞ(笑い)!前半のあの突込みを更に伸ばしてゆくと注目される作家になれると思う。期待している。

入選作『男のサービスエーリア』は、自殺した作者の父の跡を、初めて会う異母兄と一緒に訪ねるところから始まるドキュメンタリー。だが客観的な視点で捉えている為にじめじめしたところは微塵もない。家庭も複雑で鈴木志郎康さんが小説では書けない作品、文学では嘘に思われてしまうだろう、と言っていたが正にその通り――登場人物がみな良い。それに無駄のない編集、音や写真の使い方なども秀逸で、是非ドキュメンタリー映画祭に出品して欲しい傑作。

『僕はあなたじゃない』は、鬱病の兄(早大生)と向かい合おうとする妹の撮ったドキュメンタリーで、映画は撮影を拒む兄に自分を撮らせるところから始まった。タイトルもその兄の言葉から取ったものだと思われるが、この場面から始まる構成に先ず感心した。ロックをがなり立てる躁状態の兄、屋上での兄妹の会話などみな面白い――撮ろうとする妹と、撮られまいとする兄とのしたたかな駆け引きがユーモラスに展開して思わず笑ってしまった。作者は卒業後も兄を撮り続けるそうだから、大いに楽しみである。

『誉めよ、誉め讚えよ』の秋浜君は、中間講評ではタイトルだけ、完成講評では女性のナレーションによる少女時代からの猫の話と、テクニックを駆使した猫の美しい映像だけしか見せてくれなかった。こう云う生徒の作品はこれまでその殆どがダメだったが、見事な逆転――最後はその女性の恋人の視点からの映像で、主役が交代したのにはちょっと驚かされた(と言っても、主役の交代なら君は知らないだろうけど、30年前にぼくが『GOOD−BYE』でやってるぞ)。智謀に長け、講師泣かせの作者だが、まぁ作品は結果で勝負――結果良ければ全て良し!

『Three minuites out』は、所謂コイーィ作品が多い中にあって、会場に3分間だけ爽やかな風を送り込んでくれた。赤い太鼓橋を背景にして白い画用紙を掲げ持つ少女――するとその画用紙が何時の間にか同じサイズの写真に摩り替わっていて、彼女の頭上でその写真映像が動き出すのだ!次のシーンの背景はその動く写真に映っていた場所――このようにしてサッカー場、動物園、海岸などを経て、ラストシーンはまた元の太鼓橋が見える場所に戻ってくる。実験映画にコマ撮りはつきもののようになったが、こう云う作品は初めて――こちらは清々しき軍師、緻密な計算の上に成り立った秀作である。

当初はぼくが選んだベスト10を載せるつもりでいたが、甲乙つけがたい作品が目白押しで、それは無理だと分った。そこでぼくのプログラムに二重丸が付いている作品を列挙することにする。これらの中には何時もの年だと入選作に入ったと思える作品も多いし、またこれから手直しをすれば傑作間違いなしの作品も含まれている。

梶原 理英『束縛』 武藤 浩志『YOU-GOOD』 徳本 直之『YELLOW TRIP』 秋山 直人『稲荷之陰嚢』 木村 文昭『ホームへ帰る』 二宮 正樹『以毒制毒宴』 宇佐美 誉子『1本杉の大きな手』 本杉 淳悟『Gaze』 森 岳大『そらがわれるひ』 高橋俊治『筋肉とバランス』 神山 千恵『明かりの中の会話』 安藤 夏海『モ・ジ・バ・ケ』 たけうち由佳『事務員ミチオの秘やかな楽しみ』 長橋 佑司『ムカデのジンマシン』 tomoyo nomura『ROOOOOOOOM』 山縣 太一『絵ビラ』 山口俊昭『連帯ぱぺっと』 井上 朗子『ダイヤローグ 1999』 伊藤 あらた『壜の中の時間』 桑原 正彦『砂の写本』 山口 伊豆子『貝沢町179−1』 佐藤 健『HIGH−VOLT』 大津 麻智子『水溶性』以上……と、言い切れないところが豊年の嬉しい悩みであるのだが、切りがないのでこの辺りで止めることにする。


☆ かわなか のぶひろさんの、
  その超人的な筆力で書かれた「第23期卒業制作展 全作品講評」が

  
鈴木志郎康さんのホームページに掲載されております。

☆ 志郎康さんのHP「曲腰徒歩新聞」にも、23期卒展関連の記事が載っ
  ております。

☆ この23期卒展をご覧になった方で、ご意見などがありましたらメールを
  下さい。
mailto:katsu@mail.hinocatv.ne.jp


その後の23期情報

その (2002年10月)
徳本 直之君の『まんま』が仙台短篇映画祭・2002の審査員特別賞!
徳本 直之君の『アクセスアースストリップ』が第5回調布映画祭ショート
  フィルム・コンペティションの特別賞
  (この調布映画祭では毎年IF卒業生の受賞者・入賞者が目白押しで、
  PC編集でお世話になった
吉本直聞君(専科)の『purpose....』
  も第2回に入賞しています)


その2 (2001年6月)
☆ 『YELLOW TRIP』徳本 直之君の新作『アクセスアースストリップ』が、
  第4回《インディーズムービーフェスティバル》に入選しました。
  この作品は、10月以降全国TUTAYAでのビデオレンタル開始をはじめ
  
CS、BS放送、インターネットなどで流れます。
☆ 田端志津子さんのthree minutes out』が、短篇映画祭の名門・
  ドイツの《オーバーハウゼン国際映画祭》に正式招待されました。


その1 (2001年3月)
流石は「黄金の23期」――!
   各地の映像コンクールでもその名を馳せました!!

〈IFF2001〉
  
入 選   武藤浩志放飼』
      
   樋渡麻実子 『男のサービスエリア』
  奨励賞  田端志津子 three minutes out』 
       
  秋浜瑞紀 誉めよ、誉め讃えよ』 
〈BBCC〉
  
グランプリ 二宮正樹 『以毒制毒宴』
  
入  賞   武藤浩志 『放飼』
〈神奈川映像コンクール〉
  
最優秀賞 木村文昭 『ホームへ帰る』
〈あきる野映画祭〉
  
グランプリ 井上朗子 『ダイヤローグ 1999』



 23期卒展プログラム
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