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 武州高幡不動           
    
金井 勝丸あばら家物語
                     
〜プロローグ〜

京王線の高幡不動に居を卜して三十六年が経った。
口の悪い知人が「まるで貧民窟だな」と宣うたが、確かに見てくれは宜しくない。
土地の形で奥行きはあるのだが正面からはいたって貧相――その上、建築屋がセメントを喰らってしまったから、土台は低く今にも地面に潜り込みそうだ。

しかしこの家(や)には、そんじょそこらには転がってはいない歴史が詰まっている。

もう四半世紀にもなるが、実験映像のオルガナイザーにして大学教授・映像作家のかわなか のぶひろ氏がペンキを塗った屋根がある。
ペンキ塗りに関しては他に、現在「プレイボーイ誌」などで大活躍中のライター・
折山淑美氏がいる――あの原田雅彦(スキー・ジャンパー)をドキュメントした『誰よりも遠くへ』の著者だ。
そして、映像作家・
桜井和男氏――こちらは日記映画の傑作、『言葉が胸につかえて』の作者である。

更にここは、いまを時めく映画監督・望月六郎氏が、かつて書生として炊事係を務めながら、脚本修行を行ったところでもある。言わば氏の、映画人生出発点とも言えよう。

そして今年、続けてニ人の大物アーティストが来宅する。
その一人は、前衛映像界のスター・
大木裕之氏で、映像美術展出品作制作の為に、我ら夫婦を撮影していった。
続いて大詩人にして映像作家、大学教授でもある
鈴木志郎康氏の登場――教授は勝丸のPC指導の為にわざわざ見えられたので御座る。

まだまだ沢山の人たちが来宅しており枚挙にいとまがないので、それは後日に改めて記することに致すが、要は、これらの人たちがここで行ってくれた行為――その行為付の来宅に、この家の(文化財的な)付加価値があると考えても宜しかろう。

更にその上に、ここは〈かないシネマ〉のスタジオでもある。
『王国』
を初め、『夢走る』『一本勝負の螽斯』『時が乱吹く』『ジョーの詩が聴える』『聖なる劇場』の掛け替えのない舞台なのだ。
その辺りのこともまた追々したためてゆくこととして、まず「一見貧民窟風の冴えない平屋だが、その実れっきとした由緒の館」――であるということを先ずは認識して頂いてから、この『あばら家物語』をはじめようと思う。

ともあれ、固定資産税が廉い――!
そのことがこの勝丸をして勝丸らしい生き方を可能たらしめている所以で御座る。あぁ、ありがたきかな、愛しの我があばら家よ!!

若き日のかわなか教授、
IF富山社長、
勝丸の長男・勝徳

脚本修行時代
望月監督

映像作家・大木氏と
勝丸と妻・智子

CP技術を伝授する
鈴木教授と勝丸


あばら家物語 目次

20 〈新選組〉第2弾・天然理心流 (2004.2.14)
19
高幡に、新選組が動く―― ! (2004.1.23)
18
雛の巣立ちアトリエ染花〈花飾り展〉 (2002.5.5)
17
その後の雉鳩と居田氏からの文(ふみ) (2002.4.20)
16
なんと〜勝丸池のすぐ脇に雉鳩が !  (2002.4.14)
15
MONSHIRO姫の「あばら家訪問記」 (2001.8.19)
14
勝丸の肉体表現―その3・納戸篇( 2001.6.9)
13 あばら家植物図鑑・冬篇 (2001.2.6)
12 勝丸の肉体表現―その2・居間篇 (2000.12.11)
11 浮世の憂さは温泉で流す (2000.11.8)
10
あばら家植物図鑑・秋篇 (2000.10.6)
 9 勝丸の肉体表現―その1・PC室篇 (2000.9.14)
 8
武州高幡 夏の風 (2000.8.8)
 7 ねるとん・ぐー氏の素顔発見! (2000.7.16)
 6 参道で事件発生!三宅晴子嬢来宅 (2000.6.22)
 5 あばら家植物図鑑・初夏篇 (2000.6.22)
 4 手弱女(たおやめ)たち、唸る鞭 (2000.6.7)
  ☆ 速報・那田 尚史氏来宅 (2000.5.21)
 3 堕仙人と観音菩薩 (2000.5.19)
 2 風吹けば的、池の魚たち (2000.5.8)
  高幡不動鳥瞰図 (2000.5.1) 
               
※ 日付は、アップロード



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