高野 徹 『映画はエンジン』 作者は、複雑な家庭に生まれ育っていて、母と離婚してひとり暮らしをしている父(実は義父)を訪ねてゆくと、父は既に鬼籍の人となっていた・・・・・!
家族を撮ったドキュメンタリー映画の傑作は、石井秀人の『家回帰』以来たくさん生まれてきてはいるが、ここには3人の父を持つという特殊な事情があり、更にその父が作った8ミリ映画『鋳物師』(父が祖父を撮った)が見つかるなど、親子二代に渡る映画作りへの情熱などが伝わってくる。またその一方で、彼が知らなかった父の性癖や父を巡る人間関係なども追及してゆくという、稀に見る力作である!
しかしもし10年前にこれが作られていたとしたら、きっと凄い反響を呼んだ筈だが、、、ともあれ、多くの人に見てもらいたいドキュメンタリーである!
大網亜矢乃 『Melancholy Metronome』 妊娠中のダンサーの踊れないもどかしさを描いた作品で、作者自身もダンサーであるだけにその心理描写は見事である。またこれまでに類例を見ないテーマであり、この作者独特の映像感覚が画面に惹きつける〜〜
が、そのショットがみな短く感じられ、夫々にあと1秒は欲しいと思ったのだが、それはぼくひとりだけのことであろうか・・・!
さて、この魅力的な作品をどういう形で終わらせるのかと思っていたら、洗面器いっぱいの塩辛の中に、何と足を突っ込んで掻き混ぜだしたではないか〜〜
この意表を突くラスト・シーンは頗る大胆で、天晴れ也!
山田友子 『Drop Loop』 作者は〈食物連鎖〉のことが頭にあって作り出したのだそうだが、そのようなことは全く伝わってこない〜〜 しかし映像には何故か惹きつける力があって、そこに観客は夫々自分の映画を作ってゆくのだ。
俎板の上には怯え切った顔の鮭があり、その頭に包丁がぐさりと入って切り落とされた頭〜〜 すると鮭の眼からは一筋の涙が零れ落ちて、ぼくの場合は「行春や鳥啼魚の目は泪」〜〜
『奥の細道』のあの句が浮かんできて、やがて鄙びた山村の中を流れるせせらぎへと展開した!(笑)
ことほど左様に、次々と現われるその憎めない映像に、観客の夫々は勝手な〈誤解〉を楽しんでゆくという〈怪作〉であった!
清川玲奈 『BRIKKY』 ピンクの衣装を身に纏って、今時はやりの陽気な〈おばかさん〉が出てきたと思ったら、彼女の語り出したのは〈ひきこもり〉の兄のこと〜〜 そのギャップに驚かされていると、彼女は兄を救うために父母を伴って隠岐島(島根県)へと渡るのだ。
そこで兄が住んでいる部屋は、この世のものとは思えないほど汚れきっていておぞましい〜〜 そんな暮らしにピリオドを打たせるために彼女は家族会議を開いて、兄を就職させることにした〜〜
前途は多難かも知れないが、この明るい彼女が付いていれば、何とかなりそうな気にさせてくれるのだから、不思議な娘(=作者)である。
寺田京介 『in the sink』 これは洗面所の流し台(=シンク)だけが舞台となる作品〜〜 その清潔そうな白いシンクの色が微妙に変わると、やがて激しく様々な原色が襲ってくる!
さらに、ホースやCD、眼鏡、灯油用のポンプ、電気コード、手袋などが飛び込んできて、縦横無尽に(コマ撮り撮影で)暴れ回るという〈構造映画〉〜〜 印象に残る作品のひとつであることは確かである。
これ等の5作品とは別の
アニメ科の作品(受賞の対象外)に、嶋 倫子の 『Mushao』があり、その発想と感性が面白かった。ベルト コンベヤーの上を流れてきた顔のあるお米、それを摘み上げる箸〜〜 そこに流れるご詠歌のような「ゲンマイ〜〜サスガ、ゲンマイ〜〜」の声が良い。そして、大きな鮪を恰も寝袋のようにして潜り込むアイデアもまた秀逸〜〜
もう1年〈本科〉で頑張れば、そのセンスは更に進化すること間違いない:-))))))))))))
さて
先日のWBC決勝戦は凄かったですねぇ〜〜
日本も凄いし、韓国も凄かった:-))))))))))))
かつて日本や韓国の野球がこんな形で
世界の頂点を競い合えるとは誰が想像したろうか?????????
長い間の
鎬を削ってきた隣国ならではのライバル意識が
本気を出させ
何時の間にか
途方もない力をお互いが身に付けていたのだ-!!!!!!!!!!!!!!!
否
野球だけではなく映像作品を作るにもよきライバルは必要〜〜
第32期の諸君にはその意識が欠けていたような気がするので
良きライバルを見つけて、「負けてたまるかと!」と、頑張って貰いたい:-!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
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