50, 2002.4.27 伏屋博雄さんからの嬉しいメール   ☆「かわら版」51へ

HP「映像万華」を開設して2年が過ぎ、アクセス・カウンターも1万9千になろうとしております。これは当初の予想を遥かに上回るアクセス数で、訪問者の皆様に心から感謝致します。

その訪問者の殆んどは、IFの受講生や卒業生だと思っておりましたが、〈寺嶋真里さんの結婚と上京を祝う会〉で久々にお会いした松本俊夫さんから、「時々アクセスしている」といわれてびっくりしました。
あるいはぼくの想像範囲を超えたところからの訪問者が大勢いらっしゃるのかも知れません。

ともあれHPの送り手にとって、〈どういう方がどんな頁に興味があるのか〉を知りたいのは人情〜〜すると先日、旧知の間がらである伏屋博雄さんから嬉しいメールを頂戴しました。
勿論、お世辞が半分でしょうが〜〜それでもかなりの頁をご覧頂いたのは確かです。

伏屋さんはご存知の通り、元・小川プロのプロデューサーで、あの傑作『ニッポン国・古屋敷村』など10本の小川プロ作品を制作しています。
小川紳介監督が亡くなってからの彼は、(有)ネットワーク・フィルムズを設立して河瀬直美監督や瀬々敬久監督などのドキュメンタリー作品をプロデュースしております。

またこのメールで知ったのですが、ドキュメンタリー映画専門誌「NEO」の責任編集をしているのだそうです。
早速ぼくも「NEO」に登録致しましたが、ドキュメンタリーに関心のある方には必見のメルマガですので、ご登録(無料をお薦め致します。

金井勝さま

ご無沙汰しています。
先日、ひょっとしたらと思い、金井さんを検索したら、HPを開設されていること
を知り、さっそくクリック。

読んで、抱腹絶倒、いやぁ実に面白い。
特に「あばら家物語」は特筆もの。
若き奥様との絶好調の、不思議の生活!
訪問者の多彩さ。庭の可憐な花の観察記録。充実してますね。

また、金井美学に基づく部屋のレイアウト。天井の張り替えまでご自分でやる
に到っては、多面体・金井さんの日頃知らない一面を見ました。
それにソーテックを愛用していらっしゃるんですね。私と同機種で、実に心強い。
どうぞ、どうぞ、続けてください。時折、クリックしますよ!

さて、小生も、1年余前からドキュメンタリー映画のメルマガ「NEO」を月2回編
集しています。よかったら覗いてみてください。

ドキュメンタリー映画のメルマガ「NEO」の登録は・・・
http://www.ytv.co.jp/
上記、読売テレビのホームページの「メールマガジン」欄の中に「NEO」があり、
後は登録手続きをすれば毎月2回自動的に配信されます。無料です。

では。
                                       伏屋博雄

※ 「NEO」のバックナンバーの頁


49,2002.4.22 FMF・宮田さんからのお報せは、「試写室 開設」!

福岡のシネマテーク〈FMF〉の宮田靖子さんから嬉しい報せが届きました。
広さ約10坪・定員30名の映写スペース〈REEL OUT 試写室〉を、協同で開設したのだそうです。

〈REEL OUT 試写室〉16mm、8mm映写機と、ビデオプロジェクターを常設し、国内外の個人・実験映画、ビデオ作品、フィルムクラシック、ドキュメンタリー作品の上映、また、映像制作の為のワークショップやセミナーの開催等、定期にあるいは不定期に、開催する予定だそうです。

FMF25周年を記念して、そのオープニング企画はスタン・ブラッケージ作品集BRAKHAGE EYES――4月27日()〜29日()まで公開されます。

画面にみなぎる圧倒的な表現力にぶちのめされた。死や生の赤裸々な姿を、とりつかれたように凝視するブラッケージの眼差がすごい。ぶれ、ピンボケ、光線洩れ、露出むらなども個人的なボキャブラリーに組込みながら、彼は一切の因襲を超えた視覚世界を立ちあげている。これらはすべて映画で世界を見ることの技術と、いかに世界が見えたかのドキュメントなのだ。 (映像作家・松本俊夫)


プログラム A (59分)
「FIRE OF WATERS」……7分 B&W 1965
「窓のしずくと動く赤ん坊」……12分カラー 1959
「夜への前ぶれ」……40分 カラー 1958

プログラム B (58分)
「THE DEAD」……11分 カラー 1960
「思い出のシリウス」……11分 カラー 1959
「MOTHLIGHT」……4分 カラー 1963
「自分自身の眼で見る行為」……32分 カラー 1971

プログラム C (78分)
「DOG STAR MAN(完全版)」……78分 カラー 1961〜64

  プロ プロ プロ
4月27日( 16:00 18:00 20:00
4月28日(
  29日(
14:00 16:00 18:00


● 鑑賞券 1000円(当日券のみ)

● 主催・お問合せ:フィルム・メーカーズ・フィールド(FMF)
  092-851-4474 070-5845-0959
  vow-03@aboxso-net.ne.jp

REEL OUT 試写室: 092-843-7864(夜間のみ)
  福岡市中央区赤坂1-6-22 第二野田ビル4F
  (地下鉄赤坂駅2番出口・歩3分 ハローワークの隣の隣)   


48,2002.3.23 詩人・鈴木志郎康第2期黄金時代突入す!

鈴木志郎康さんの『胡桃ポインタ』が第三十二回高見順賞を受賞し、3月15日にその贈呈式が飯田橋のホテルエドモンドで開かれ行ってきました。(阿部日奈子さんの『海曜日の女たち』との同時受賞で、ともに出版社は書肆山田)

鈴木さんは第二詩集の『罐製同棲又は陥穽への逃走』(季節社/1967)でH氏賞を受賞しておりますが、そこに収められているプアプアの連作は他に類のない斬新な詩で、社会的にもセンセーショナルを巻き起こし、ぼくもその時に詩人・鈴木志郎康の名を知りました。(後で触れますが、その『罐製同棲又は陥穽への逃走』を購入していなくて後悔――ぼくが読んだのは「現代詩文庫」版です)
それから35年が経ち、彼はその間に23冊の詩集を上梓しております。が、「あのプアプアを超えていない〜〜」などの理由でこの高見順賞にも度々候補に上りながら敬遠され続けてきました。

そのことについては贈呈式の会場でも「(詩壇あるいは同世代の詩人たちから)故意に無視されてきた」という言葉を何度か耳にしました――が、『胡桃ポインタ』には無視したくても無視できない新しい時代(PC時代も含めて)への先駆けとなる、奥の深い詩の力がありました。
「詩人・鈴木志郎康―第2期黄金時代突入す!」の見出しも、単に高見順賞を受賞したからつけたものではなく、ぼく自身が『罐製同棲又は陥穽への逃走』以来の衝撃を感じたからです。

ご承知のように鈴木さんは幅広い分野で活躍しております。が、メインは詩人として、映像作家として、そしてPCマン(これはぼくの造語?)としてだと思います。
『胡桃ポインタ』は『石の風』(書肆山田/1996)から5年振りの出版でしたが、この間に彼はパソコンに熱中し、一方では大病を患いました。そのためこの詩集には〈PC〉が随所に登場しますし、入院中に無意識のうちに培われてきたのか、これまで余りみられなかった〈妄想〉的な詩がかなりあります。

さて、もう十数年も前のことになりますが、
毎年桜の季節になるとイメージ・フォーラム付属映像研究所の専任講師たちは箱根湯元の恵比寿旅館に宿泊し、新しい年度の指導方針などを決める〈箱根会議〉をおこなっていました。
その休憩時間に「詩とは何か?」と鈴木さんに訊ねたことがあります。当時の現代詩は観念世界にエスカレートしていて、ぼくが興味を失いかけていた時でしたので伺ったのですが、彼は「耳に残る言葉だ」と即座に答えました。(然り――!プアプアの詩は、長い歳月を経ても未だにぼくの耳に残っています!)

今回の『胡桃ポインタ』には、その〈耳に残る言葉〉のほかに、〈脳裏に残るイメージ〉が加わりました。「窓辺の構造体」、「小説の青空」、「ベンチの男」、「夕闇の部屋」、「球体遊び」などの妄想的な詩には特にそれを感じます。
また、PCマン・鈴木志郎康ならではの「チューリング・マシン」――この詩は全く新しい領域で、極めて重要な詩の誕生だと思います。

       高見 順さんの遺影

 司会は鈴木さんと縁の深い
         ねじめ正一さん

   選考委員と
     受賞者の鈴木さん、阿部さん

    選考経過報告に
        耳を傾ける出席者

     中村稔さんから
           賞状を受取る鈴木さん

 賞状を手にする
    阿部さんと鈴木さん

  白石かずこさんから
      花束とキスを頂く鈴木さん

   出席者170名の
         華やかな談笑風景

一方、映像作家・鈴木志郎康としても多作で、その代表作には『日没の印象』(’75)、『15日間』(’80)、『風の積分』(’89)などがありますが、その代表作に昨年作った『極私的にEBIZUKA』が加わりました。
『極私的にEBIZUKA』は、彫刻家の海老塚耕一さんの作品が野外展示されている数ヶ所をロケし、彫刻とは何かに迫った傑作です。

その海老塚さんの装丁による詩集『胡桃ポインタ』――初版第一刷は900部で、表紙と口絵は全て手書きで同じものがないというこれまた前代未聞の贅沢な装丁です。
先に触れた『罐製同棲又は陥穽への逃走』は現在古本屋のガラスケースの中〜〜とても手が出ない値段です。この『胡桃ポインタ』もコンピュータ時代の先駆けとなる歴史的な詩集で、後悔しないよう、本屋に向ってダッシュ!

海老塚さん手書きの表紙――「胡桃ポインタ」と鈴木さんのHP

「曲腰徒歩新聞」2002.3.19日号の「高見順賞の贈呈式に出席」

書肆山田のHP


47,2002.3.15 超特報!寺嶋真里さんが岩本憲児教授と結婚!!

3月3日の雛祭りの宵に〈寺嶋真里さんの結婚と上京を祝う会〉が国立の木乃久兵で開かれました。

これまで数々の衝撃的な作品を手掛けてきた寺嶋さんの夫君は、何と映画研究の泰斗・岩本憲児早大教授〜〜寺嶋さんは京都がホームグラウンドの実験映像作家で、岩本教授は東京在住、更に教授と実験映像とがストレートに結びつきませんでしたので、最初は自分の耳を疑いました。

この〈不思議な縁〉のフィクサーは那田尚史さんで、彼は岩本さんの教え子であり、また寺嶋作品を非常に高く評価している映像研究者〜〜これで皆さんもその謎が少しばかり解けたと思います。

ぼくも寺嶋作品が大好きで、その独特な妄想世界は実に魅惑的〜〜生れて2度目のファンレター最初のは少年時代にタイガースの藤村富美男選手へ出したものを彼女の元へ送ったほどです。
また同時に彼女の作家としての意志の強さにも惹かれていました。女性の映像作家たちの多くは、ある時期がくると映像作りから撤退してしまい歯がゆく思ってきましたが、文学界に於ける女流作家のように老いて益々円熟してゆく映像作家は寺嶋さんをおいて他に見当たらないと思ったからです。

さてこの宴の出席者は、岩本さん寺嶋さんご両人と那田さん――そして映像作家の松本俊夫、居田伊佐雄、山崎幹夫、帯谷有理、黒坂圭太、土居晴夏、小口詩子、水由 章、片山薫、佐藤博昭、山口卓司、中沢あき、木乃久兵衛の主・佐々木健の諸氏とぼく、そこに山形ドキュメンタリー映画祭コーディネーターの藤岡朝子さんが駆け付けました。

岩本教授と真里さん パーティ参加者

先に述べたように寺嶋さんは京都がホームグラウンド〜〜松本さんの『ドグラ・マグラ』(’88)に狂人役のひとりとしてぼくも出ましたが、彼女も同じく患者の役で出演していて、二人が顔を合わせたのは後にも先にもそのロケの時だけです。またこの宴に参加した他のメンバーも初対面の方が多かったと思います。

そんな中、〈縁結びの神〉と自ら宣う那田さんの司会でこのパーティは始まり、ご両人のユーモラスな挨拶、そして寺嶋さんの恩師であり、岩本さんとも親交の深い松本さんが彼女の学生(京都芸術短期大学)だった頃の話を中心に語ります。

木乃久兵が全国から集めた数々の美酒と、心のこもった料理とを満喫しながら続く談笑〜〜そして帯谷さんがフォークソングを歌い、山崎さんが自作の主題歌を弾き語って、やがてギターは46号で紹介したHALUKA(土居晴夏)へと渡っていよいよ盛り上がり、本当に気持ちの良いパーティとなってゆきます。

そうこうする内に〈自己紹介とお祝いの詞〉の時間がやってきました。
前もって那田さんから「金井さんは自己紹介の時に短歌を詠んでくれ」といわれていたのですが、普段短歌や俳句を作っている訳ではないので、正直なところそれはチョッと荷が重いなと思っておりました――が、これは真里さんへの応援歌と心に決めて作り、前日に多摩川の河川敷で発声の稽古をしてきました。その甲斐あって、その時の声はぼくの耳にも快く響きます。(笑い)  

夢走れ!
   とどまることなく何処までも
      愛もアートも黄泉の国まで

さて読者の皆さんが気になっているだろうところも、ちゃんと取材〜〜この勝丸編集長に抜かりはありません。
真里さんに「岩本さんはあなたの作品をご覧になって何とおっしゃてましたか?」と訊きましたところ、「フェリーニのような作品ですね」と答えたそうです。
彼女はフェリーニ作品を余り観ていないと思いますが、確かに『サテリコン』(’69)などの作風に通底するところがあります。
良き理解者を得て、これからの寺嶋作品が益々楽しみです!


46,2002.3.8 土居晴夏の歌に酔いしれました!

イメージフォーラム付属映像研究所ももう直ぐ25回目の卒業式ですが、卒業生たちは映像関係は勿論のこと、他の様々な分野でも活躍しています。

正月番組だったと思いますが、〈タケシの誰でもピカソ〉に
『一本勝負のキリギリス』で人形・ほう助を巧みに操った山本由也が特別出演といった形で出ていて喝采を浴びていました。
彼の実家は直ぐ近くにあって、もう20年近くも昔のことになりますが、当時ぼくの家に
望月六郎(現在映画監督・第5期)が居候をしていましたので、彼からIFのことを聞かされその影響で第7期に入ったのでした。
現在山本は、人形劇団〈かわせみ座〉を率いて国の内外で大活躍しています。

ミュージシャンにはUAカジヒデキなどもおります。が、忘れてならないのがHALUKA〜〜夏休み作品で『なかのあなた、いまのあなた』という8mm映画の大傑作を作っているあの土居晴夏(9期)です。

彼女がミュージシャンとしてデビューした当初には、ぼくも渋谷のジャンジャンなどに2〜3度聴きにいったことがあります。その育ちの良さと知性とで爽やかさが溢れるライブでした。

さて、先日映像作家の寺嶋真里さんの結婚披露パーティが国立の木乃久兵衛で開かれました。実に素敵なパーティでしたので、そのパーティの様子は真里さんからの写真が到着次第掲載するつもりですが、それに先駆けた格好で今回は出席者のひとりHALKAを取り上げたという次第です。

パーティでのHALKAは、ギターの弾き語りで自作の「鰤大根」「花火」の2曲を歌ってくれましたが、以前聴いた時より数段と歌唱力に磨きがかかっていて本当に驚かされました。またその歌唱力の自信から来るのでしょう、歌っている時の表情が実に豊でチャーミング〜〜ぼくが大好きだった在りし日の越路吹雪(こちらはシャンソンでしたが)がイメージの中で重なり、耳と眼とで大いに堪能しました。

そのHALKAの新作CD「12ヶ月」が3月20日に発売、その日に〈日野ソウルK〉でライブがあるそうです。
日野ソウルK:JR日野駅徒歩3分、改札を出て左、線路沿い坂道を入ってすぐのラポートビル4F。
пF042-584-4144
出演:HALUKA,Q/C
日時:3月20日(水) PM7:00 open、(HALUKAの出番は8時頃)
料金:2000円

HALUKA HP


45,2002.3.2  特報!〈IFF2002〉の受賞作品が決定!!

毎年ゴールデンウイークから国内主要都市で公開され、実験映像・個人映像の最高峰として世界から注目されている〈イメージフォーラム・フェスティバル〉〜〜その2002年度の一般公募部門受賞作品が発表されました。(尚、このフェスティバルは秋にロンドンでも開催されています)

●大賞
  「次・どこ・行く?」 白川敏弘 ビデオ、43分、2001
●審査員特別賞
  「景色の映画」 林 勇気 ビデオ、5分、2001
●入選
  shadow 宮原美佳 ビデオ、15分、2002
  「僕の内臓 君の海」 島田 剛 ビデオ、9分、2001
  「ダガガダ」 工藤理沙 ビデオ、52分、2001
  「幸せ蝙蝠」 金丸裕美子 ビデオ、43分、2001
●奨励賞
  「君の1秒は僕が決める」 宮川真一 8mm、14分、2001
  「むすんでひらいて」 田端志津子 8mm、3分、2001
  「HOME」 小林貴裕 ビデオ、64分、2001

受賞者の皆さんおめでとう御座います。
この「映像万華」訪問者の中には受賞者もいれば、残念ながらで落ちてしまった者もいると思います。選にもれてもその悔しさが武器――来年度を目指して頑張って下さい。期待してます!
ちなみに編集長・勝丸がかかわっているIFからの受賞者は、島田剛(本科24期、専科25期)、工藤理沙(本科22期)、宮川真一(本科20期(?)、専科24期)、田端志津子(本科23期、専科24期)でした。


44,2002.2.28  今日は「映像万華」記念日です!

毎度ご訪問有難う御座います。
HPを開設して丁度2周年〜〜今日2月28日は「映像万華」記念日です。

そもそもPCそのものに触れたのが63歳の秋でしたので、その機能の複雑さとPC用語の洪水とに翻弄されましたが、それでも思っていた以上のスピードで2000年のこの日にHPを立ち上げることが出来ました。

ぼくのPCの師匠・鈴木志郎康さんは特別でして、他の同年輩の友人たちは誰一人としてHPを持っている者はおりませんし、インターネットさえしたことのない者がその殆んどです。それ故に「映像万華」への訪問者の99パーセントはぼくより(ずっと)若い方々だと思います。その若い人たちから1日に平均約30件のアクセスがあるようになって、老骨に鞭打った甲斐があったと喜んでおります。

その年齢の差を超えてご訪問下さっている訳は、このHPのテーマが〈実験映像・個人映像〉でしょうからこれからも新しい情報をどんどん掲載してゆくつもりです。また現在休載状態にある〈あばら家物語〉も頑張って復活せねばと自分に言い聞かせております。
その〈あばら家物語〉はこのHPの言わば目玉的な存在ですが、写真や文章に手間がかかるのでついつい怠けてきてしまいました。先日も福岡のシネクラブ〈
極狂遊民カチカチ山〉の中村信昭さんからお叱りを頂戴しましたが、これからはせめて2ヶ月に1篇の割でアップロードしていきたい思っておりますのでご贔屓にして下さい。

ともあれ、あの時頑張ってPCを始めて本当に良かったと思っております。
現在はSOTECとVAIOの2台を用途によって使い分けており、VAIOでのノンリニア編集技術は
吉本直聞(IF卒業生)君などからのアドバイスで順調に進んでおります。
しかし好事魔多しで、一昨日HPやメールなどをおこなっているSOTECに突然異常発生〜〜「▼」印や
×」印などの記号が全て数字に文字化けしてしまったのです。

早速、師匠の志郎康さんに電話してみたところ、「多分OSの一部が壊れているのだと思う。Windowsの再インストールが必要〜〜」とのことでした。
「OSの再インストール」には危険を伴うそうですので二の足を踏んでおりますが、幸いその「文字化け数字」をクリックすると通常の作業が可能ですので当分はこのままでいくつもりです。

しかし早晩「OS再インストール」をしなければならなくなる時が来ると覚悟しております。そしてその「再インストール」が難なく出来るようになった時、初めて本当の「PCマン(?)」になれるのだと思っております。
それはそれとして、明日からは3年目――今後とも「映像万華」を宜しくお願い致します。


43,2002.2.15  かわなかさんからのメール「井口奈己が〜〜」

IFの卒業制作もいよいよ最後の追い込みで、先日かわなか のぶひろさん、奥山順市さんと専科の講評をおこないました。
ほぼ仕上げている者もいれば、間に合うのかどうか心配の者もいました。しかし専科の兵(つわもの)ですのでその辺りのことは計算のうちに入っていると思っております。
が、今年は本科と専科が一緒の卒業展になりますので油断は禁物〜〜本科の中にもなかなかの作品がありますので負けないよう頑張って下さい。

講評の延長戦は例によって飲屋〜〜ここで更に盛り上がりましたので、時計を見ながら渋谷駅に向ってダッシュ――どうにか最終電車に間に合いました。
帰宅すると、先程まで一緒だったかわなかさんから嬉しいメールが届いておりました。

(前略〜〜)
さて、事務所で郵便物を開ければ良かったのですが、人前で開封するのは品
がないと開けなかったのが失敗。電車の中で「ぴあ」の封筒を開いたら、なな
なんと、イメージフォーラム?期生の井口奈己が、第23回「ぴあフィルムフェ
スティバル」で「企画賞(TBS)」を受賞していたんですね。
経歴では「深夜番組に出演中のかわなかのぶひろ氏が個人の好みで映画を
作ってもいいという事をおっしゃっていて、ショックを受けて20才の時イメージ
フォーラム付属映像研究所に入学…」とありました。1967年生れだそうです。
かすかに元気でおしやまな学生だった記憶はあるのですが…。

とり急ぎお知らせまで。

この「映像万華」でも何度か取り上げてきましたが、卒制では凄い作品を作りながら、卒業すると徐々に映像から遠ざかってしまうのが女性たちの常でしたので、非常に勿体無いと思ってきました。
しかしこの〈第23回ぴあフィルムフェスティバル〉では『モル』タナダ・ユキがグランプリとブリリアント賞を受賞しており、更にこのかわなかさんのメールで、企画賞の『犬猫』がIF卒業生の井口奈己だということを知りました。

タナダは21期生ですが、井口は13期生〜〜卒業して既に12年になりますので気がつきませんでした。誠に申し訳ありませんでした。
ともあれおめでとう御座います。そしてそれは講師たちの「励み」と、女性卒業生たちの「創作意欲の喚起」に繋がると思いますので大いに嬉しいです。

その『犬猫』ですが、3月23日に〈中野武蔵野ホール〉でレイトショー公開されるそうですので、ぼくも予定に入れておきます。皆さんも是非観て下さい。

● ちなみに、この13期には具志堅剛、三原淳子、西村智弘、井口昇、小口さつき等がおり、井口奈己の卒業制作は『NOWHERE GIRL』

井口奈己さんのHP


42,2002.2.11  二月だというのに桃の花が咲きました!

一年の内で一番人気のない月は多分二月だと思います。その理由の一つは、植物たちに賑わいがないからではないでしょうか。一月もまた草木の多くは眠っておりますが、何といってもお正月という晴れやかさをもった月ですのでこれは別格〜〜新しい年を迎えて心の中に早春を感じます。しかしその心に感じた春も二月に入った途端に吹っ飛んでしまい、現実の冬の風に晒されてしまうのです。

そんな地味で現実的な二月ですが、玄関に置いてある鉢植えの桃が咲き出しました。そういえば先日那田尚史さんと木乃久兵衛で飲んでの帰り途、ふと見れば国立の駅舎脇にある櫻が何と七分咲きでした。夜目でしたので確かなことはいえませんが、花の形はソメイヨシノのようにも見えました。(この櫻は3月13日の新聞で寒櫻だということが分りました)

しかしこの現象は単に暖冬の為だけなのでしょうか〜〜北国ならいざ知らず、南関東では梅・桃・櫻の順の筈ですが、我が家の紅白2株の梅はまだ固い蕾のままですので、正にその開花の順序は逆さま〜〜一体どうなっているのでしょう?

ともあれ花を見ると心が浮きうきしてきます。取分け桃や櫻は冬からの解放を告げて華やかに咲きますので一入です。


41,2002.2.1  造形大「映像芸術V」は更に前進!

昨年に続き、東京造形大学の「映像芸術V」(受講生は3年生で18名)という講座の後期を担当しました。
昨年度も川上まゆ子の『女子レバーボール』という実にユニークな快作を初めとしてかなりレベルの高い作品が生れました。そのことは
〈かわら版2001.2.12号〉で取り上げています。

今度も河内 洋の『分裂抄』という奇抜な発想の傑作が誕生し、全体としてもそのレベルは昨年度をやや上回っていると思います。
テーマやアプローチの仕方も、各自の個性が如実に表れていて似通った作品は見当たりません。しかしそのことを逆からいえば、作品を作りながら自分の個性を発見していった結果だともいえましょう。

河内 洋 『分裂抄』 8mm作品 6分
この作品は、スチールカメラで撮影した写真素材と、DVカメラで撮影したムービーを静止画に変換してプリントした素材――それらを8mmカメラで撮影しています。

トップ・ショットは新宿西口の横断歩道で、手前からフレーム・インした青年(作者自身)が渡り切ったところで立ち止まります。振り向いた彼は暫くこちらを眺めていましたが、やがて戻ってきてフレーム・アウトします〜〜。と、先程立っていた場所に全裸の彼がいたのです。
次のシーンは部屋で、裸の青年の首が胴から分裂して畳の上に落ちます。するとその首が自分の足に踏みつけられてゆくのですが、その(足の)重力に抗し切れず、まるで提灯のように伸び縮みを繰り返します。
街は街で分裂を開始〜〜ビルが裂け、裂けたビル群の切れ端はやがて一定の流れを作って渦を巻き出し、それが段々と薔薇の花状になってゆきます。
若いカップルなどが出てきた後にトップシーンの横断歩道となり、今度はそのカップルの男性の首が胴から分列して飛ぶと、その背後に巨大なビルがスルスルと現れました〜〜と、その画像の中央が手前から破られてゆき、そこに現れた青年の首は巨大な赤い薔薇となっていたのでした。

この斬新な発想も、その背景には分裂病鬱病、自傷症など精神に異常をきたした人たちが身近にも多く見られるようになってきたので、その辺りのことも踏まえた上での妄想シネマだと思いました。

鳥井龍一 『版画』 8mm 2分40秒
ご存知ように版画(ここでは江戸時代の浮世絵)は何枚もの版木を用いて色を重ねてゆきますが、この作品はその版画の手法を取り入れて作られています。
まずタイトルからして版画を意識しており、やがて北斎の「下野黒髪山きりふりの滝」のアウトラインが浮かび上がって、徐々にその色を重ねてゆきます。
更に暫くすると、その絵の中に描かれている3人の人物のうちの1人が姿を消して、残った2人はその滝の迫力に感激したのか万歳を繰り返します。
その2人連れはそのまま次の版画に移行〜〜その絵のアウトラインが現れ、やがて雲が沸き立ち、稲妻が走って北斎の「富嶽」の動く浮世絵となりました。
アイディアといい、作業の緻密さといい申し分がありませんが、2シーンではチョッと物足りません。少なくとも5シーンは欲しいと思いました。

前畑安希 『pice』 DV作品 5分15秒
こちらはDV作品ですが、撮影は全て8mm〜〜全編自分を含めた女性の身体の部分だけをクローズアップ・レンズで捉えているのですが、的確なライテングと露出で驚くほどシャープな映像を作り出しています。
作者がいうには「皮膚と信仰の間にはシャマニズムが存在する」のだそうですが、それはさて置き、指や足などが全く別の個所を連想させ、甘美なエロティシズムが溢れています。

残間綾子 『胎』 DV作品 9分30秒 
〈女性〉と〈月〉と〈海〉についての関係は昔から語られてきました。作者もその体験から「女性の中に潜む性的欲求と〈月〉は密接に関わっている」といいます。
これは無意識のうちに自分を制御しているその〈月〉を表現しようとした作品だそうで、満月と満ちてくる潮が何度か出てきてセックス・シーンになりました。
まだ構成に若干工夫が必要だと思いましたが、圧巻はインパクトのある赤い海の映像〜〜青い海原の後に赤のフィルターを感じさせる海となりますが、暫くするとその赤い海から白い乳房が現れたのです!〜〜フィルターやパソコン処理では高度のテクニックを使わない限り乳房も赤くなってしまう筈です。
実は広い浴槽に絵の具を入れて赤く染めたのだそうで、そういった着想がインパクトのある映像を生むのです。

深瀬沙哉 『自傷考』 DV作品 7分
先の『分裂抄』でも触れましたが、自ら自分の身体に傷をつける自傷症も増えてきているようです。この作者の知り合いにも度々手首を切っては電話をしてくる女の子がいて、その体験を元にした作品――作者は自分が住む相原から相模原へとバイクを飛ばしますが、その画面の上部には電話をかける女性と作者の映像が嵌め込まれていて、2人のやり取りが聞こえてきます。

その女性が最近越したという家が分らない為に、相模原駅前で待ち合わせ〜〜その待ち時間に彼は2人の関係を語ります。
その女性とはただの知り合いで、彼女にはちゃんと恋人がいるそうですがその恋人には自傷のことは隠していて、いつも呼び出されるのは作者だということです。

そして作者が考える「自傷考」がアニメや特撮、イメージ・ショットなどをバックに語られていきます。その女性が自分を傷つけるのは「〜〜彼女には不安とか孤独とかそういう真っ黒いものがいっぱい詰まっていて、それが嫌で、苦しくって、その真っ黒いものを外に出そうとして手首を切るのかも知れない」「その真っ黒いものは誰にもあり、みんなその黒いものにビクビクしながら暮らしているのかも知れない。私もそういう不安にかられるからだ。しかし私の場合には中からではなく外から迫ってくる。その違いが手首を切らせないのだろうか〜〜」と語ります。
ともあれ、孤独と不安に苛まれている若い人たちの心の襞を垣間見せてくれた作品です。

他にも、写真を2枚重ねて上の写真にハンダ鏝を当て、その穴から下の写真を見せてゆく田中恭子『復式』などがあり、夫々が様々な角度から新しい映像にチャレンジしております。後は構想と表現技術に更に磨きをかけて頑張ってもらいたいと思っております――大いに期待しております!


40,2002.1.25  静止画による『ボディドロップアスファルト』

デジタル映像の威力を十二分に発揮させた和田淳子監督の『ボディドロップアスファルト』(2000年度作品)が、今度は高知県立美術館で2月9日、16日、3月2日(ともに土曜日)に上映されるそうです。

この作品は内外の映像祭を初め劇場や美術館などで上映され続けていますので、出演者のひとりとして嬉しいかぎりです。その上に観客層にも幅があるとみえて、大学時代の友人からの賀状にも「神様を観ましたよ!」と添書がありました。その「神様」とはヒロインの妄想の中に登場する老人でぼくが演じた役です。

一方こちらはまだノンリニア編集を始めたばかりですので、デジタルカメラからPCに取り込みクリップ作成〜〜それを再びカメラに書き込むという一連の作業の練習を行っております。そういった訳で現在習得した編集技術といえばO.Lとタイトル、そして静止画の作り方ぐらいのものです。

しかしぼくの次回作にはドキュメンタリー作品を予定していますので、余り凝ったテクニックは必要ありませんので基本をしっかりマスターしたいと考えております。そこで週に1篇の割合でクリップ作りを続けていこうと計画し、既に身のまわりを素材にしたものが数本出来上がっています。

そのクリップ作りを通して、先に触れた『ボディドロップアスファルト』に於ける白尾一博君の編集テクニックに改めて驚異を感じるようになってきました。勿論CGは専門のスタッフが担当したそうですので全てが彼の技術という訳ではありません。が、ぼくが出たシーンに関していえば、ターンテーブルに載せられた途端に舞い上がってしまい、その拙い演技を救ってくれたのは他ならぬ彼の編集設計と技術であったことは確かです。

そこで和田監督から頂いた『ボディドロップアスファルト』のVHSからそのシーンをDVCAMに取り込み、更にPCに取り込んで静止画を作ってみました。

下の写真のAは撮影現場で撮ったスチール、BからDまでがビデオからの静止画です。

A:ブルーバックを背にして演技する勝丸
B:合成による映像〜ヒロインの小山田サユリさんと
C:妄想の中の天国〜左が小山田さん
D:ビルの間から顔を出し「頑張れよ―!」の場面

39,2002.1.16  只今ノンリニア編集の特訓中です

前にも触れましたが現在我が家のPCはSOTECとVAIOの2台が〔MANUAL DATA SWITCH〕のシステムで繋がっており、その操作と使い分けに段々と慣れてきました。

2年半ばかり前に購入したSOTECはこれまで通りHPやメールなどに使用しており、昨年秋に購入したVAIOの方はもっぱらデジタルビデオの編集〜〜といっても、只今その特訓中です。

しかし、チョッと前までは頭を抱えていたというのが実情です。
何せ持っているカメラがSONYのDVCAMですので家庭用のVAIOやPREMIEREに対応しているのかどうか心配だったからです。

そこでSONYのサービスステーションに問い合わせてみたところ、「DVCAMはプロ用カメラですのでプロ用のデジタル編集機を使って下さい」といわれ、高価な機種名を幾つか並べられました〜〜そんな編集機にはとても手が出せないので、大枚をはたいて数年前に購入しておいたカメラ・SONY DSR‐PD100も宝の持ち腐れになってしまうのではと途方にくれていたのです。

しかし諦めるわけにはいきませんので、プロ用のDVCAMで撮り家庭用のPCで編集をしている可能性のある映像作家はと考え、メールや電話で確かめました。しかし一番可能性の高かった白尾一博君も違うようでしたし、帯谷有理さんはDVストームでした。(それでも両氏から大変に親切なアドバイスを頂きました――感謝!)

それでもまだまだ諦めるわけにはいきません!
VAIOのDVgateで取り込んで作成しておいたクリップをPREMIERE5.0を使って完成させましたが、カメラへの「書き出し」はどうもがいても不可能でした。そこでIF受講生の
広瀬 毅君にメールで訊きましたところ、PREMIERE5.0の方が(完全な形では)対応していないことが判明したのです。
早速PREMIEREを6.0にバージョンアップして新たにクリップを作成――カメラへの「書き出し」を試みると、今度は難なく成功したではありませんか――!

現時点では(ぼくの場合)生徒と先生が正に逆転しております。IFや造形大の受講生や卒業生にいろいろと教えてもらっています。先日も遊びに来たIF20期の吉本直聞君と中山広之君に編集の基本操作を特訓して頂いたという次第で、皆様に心から感謝しております。

後はマニュアル本を頼りにマスターしていこうと思っておりますが、同時に編集には慣れが一番ですので、クリップをどんどん作成してくつもりです。
年始でぼくの実家と智女の実家に行った時に撮ってきた素材を使って、只今クリップを作成中ですが、今月中には編集技術をそれなりのレベルまでもっていきたいと考えております。
とは申しましても、まだまだ「ノンリニア編集」では駆け出しですので、ご指導のほど宜しくお願い致します。

ムービーからの静止画〜〜〜勝丸の実家 と高校時代の浴衣に袖を通す智女

38,2002.1.8  明けましても〜 さして目出度くもなし2002

お先真っ暗な世の中同様に、我が家の新年も余り浮かれていられないスタートとなりました。
元日早々に智女が腰痛になり、PCもRoot FTPがトラブルを起こして年頭のご挨拶も出来ないという有様でした。

幸先悪い年初めでしたが、それでも智女の腰も回復に向っており、PCの方も5日には解決しました。
これで一件落着――といきたいところですが頭痛の種は外からも舞い込んできます。家の直ぐ後ろで3階建ての鉄筋マンションの工事が春から始まるということなのです〜〜その騒音を思うと今から気が滅入ってしまいます。

しかし、プラス思考でいかないと、持病の鬱気に襲われてしまいますので、そのマンションも(北側ですので)木枯し除けとでも考え、その風除け造りに伴う騒音なので致し方なし〜〜と、辛抱してみるつもりです。(笑い)

さて、正月といえば門松や注連飾りですが、我が家には一年中玄関で魔除けをしてくれている輪飾りがあります。

’77年に、中国地方5県を巡って「山陽山陰 民芸の旅」(広島テレビ)を1クール取材しましたが、当時80歳だった諏訪音松さんの藁細工もそのひとつで、写真は「鶴寿の輪飾り」といいます。

この輪飾りが作られて丁度四半世紀になりましたが、その美しさはご覧のとおり不変――前衛作家を志す勝丸ではありますが、これからも腕の確かな匠たちから大いに学んでいこうと思っております。



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